口腔機能発達不全症

口腔機能発達不全症

大切なお子様のために、最初に知ってほしいこと

お口ぽかん・口呼吸・姿勢を、成長のサインとして見ます。

むし歯予防は歯みがきだけでは完結しません。乳幼児期から、噛む、飲み込む、鼻で呼吸する、姿勢を保つ力まで見て、将来の歯並びと健康な成長につなげます。

鼻呼吸を支える舌の動きを確認姿勢・睡眠も見る
目次

令和2年度 歯科診療報酬改定 小児口腔機能管理料について 〜「口腔機能発達不全症」を理解する〜

口腔機能発達不全症とは「食べる機能」、「話す機能」、「その他の機能」が十分に発達していないか、正常に機能獲得ができておらず、明らかな摂食機能障害の原因疾患がなく、口腔機能の定型発達において個人因子あるいは環境因子に専門的な関与が必要な状態のことをいう。

口腔機能発達不全症の評価と管理・指導の基本的な流れ

  1. 口腔機能発達不全症の管理 (初回時) ●口腔機能の発達評価(「食べる」「話す」「呼吸する」) ●管理計画の立案 ●顔貌・口腔周囲の写真撮影●患者・保護者の動機づけ ●検査(舌圧・口唇圧測定など)
  2. 口腔機能発達不全症の管理 (継続時)●指導 ●評価 毎月
  3. 写真撮影と評価、口唇閉鎖圧の測定(小児口唇閉鎖力検査1回につき100点、3ヵ月に1回)口腔機能発達不全症の管理 (継続時)●顔貌・口腔周囲の写真撮影 ●指導 ●評価 ●管理計画の再立案 12ヶ月後
  4. 口腔機能発達不全症の管理終了 (治癒)・中止 再開は6ヶ月後
1 「口腔機能発達不全症」チェックリスト(離乳完了前)
口腔機能発達不全症の説明画像

※「上記以外の問題点」とは口腔機能発達評価マニュアルのステージ別チェックリストの該当する項目がある場合に記入する。

  • *¹カウプ指数(6歳未満の幼児)<br>[体重(g)/身長(cm)²]×10 ) カウプ指数
  •  *²ローレル指数(6歳以上の学童)<br>[体重(g)/身長(cm)³]×10⁴ ) ローレル指数
2 「口腔機能発達不全症」チェックリスト(離乳完了後)
口腔機能発達不全症の説明画像

※「上記以外の問題点」とは口腔機能発達評価マニュアルのステージ別チェックリストの該当する項目がある場合に記入する。

チェックリスト1、2の機能Aにおける「食べる機能」、「話す機能」の項目(C)において2つ以上の該当項目があるものを「口腔機能発達不全症」と診断する。なお、離乳完了前においてはC-1~C-8を、離乳完了後においてはC-1~C-6の項目を1つ含むこととする。

症例

機能的因子(口腔習癖や口呼吸、機能的顎偏位など)による歯列・咬合に異常がある。

口腔機能発達不全症の説明画像だ液を飲み込むときに前歯を押している
口腔機能発達不全症の説明画像いつも上下の歯の間に舌をいれている
口腔機能発達不全症の説明画像唇をいつも咬んでいると、上の前歯が前突になり、下の前歯は唇が中に入り込むことによって叢生になりやすい
口腔機能発達不全症の説明画像吸指癖による開咬
口腔機能発達不全症の説明画像同じ向きでうつ伏せ寝が原因と考えられる交叉咬合
口腔機能発達不全症の説明画像

これらのように、癖による歯列・かみ合わせの異常はまずは原因の除去を行います。 (舌を前に出さない、唇を咬まない、指を吸わない、うつ伏せで寝ないなど)合わせて、口腔機能の育成のために、口を閉じる、舌の位置を正しいポジションにする指導が必要です。

  • 口腔機能発達不全症の説明画像A:歯列に対して内側に位置する舌の力と、外側に位置する頬からの力のバランスがしっかりとれている状態。
  • 口腔機能発達不全症の説明画像B:舌や頬からの力のバランスが取れていない状態。

図Aのように、それぞれがバランスの取れた場所に位置することにより歯列を維持し、また飲み込むときの舌の位置は上あごを押します。飲み込む瞬間に舌が前歯を押すのは、乳児型嚥下という異常嚥下です。

  • 口腔機能発達不全症の説明画像C:口元は常に閉鎖し、舌の位置も正しい。歯列に対し、余分な力がかかっていない状態。
  • 口腔機能発達不全症の説明画像D:唇が開いたまま、舌は常に低位にあり、嚥下の度に前歯に力がかかっているため、歯牙の位置にも問題を生じている状態。

図Cのような舌の位置にするためのトレーニングを行って、正常な機能育成を促します。

口唇閉鎖、舌位のトレーニング

唇の力を(口輪筋)つけるために、風船や吹き戻し、飲み込む際の舌の位置を指導する方法

口腔機能発達不全症の説明画像手を使わずに、膨らませる。唇の力で風船を把持し、鼻呼吸で風船に空気を入れる。
口腔機能発達不全症の説明画像少し離れたところから息を吹く。唇をラッパ型にして目指すところに息を吹くことによって、唇の力をつけ、息の調整を行う。
口腔機能発達不全症の説明画像吹く練習をすることで、話す機能を育てるトレーニングを行う。

ガムトレーニング

咬む・飲み込むという機能に重要なのは唇を閉じることと舌の位置。ガムトレーニングで楽しく、 舌の位置と筋肉の動きを確認しながら、しっかり咬む筋肉を育てましょう。

最初に咬みはじめたのは、右側・左側(〇をつける)

同じ側で咬んでいることに気付いたら、均等に咬むことを意識する。

口腔機能発達不全症の説明画像ガム表面のざらざら感がなくなったら、こめかみ(側頭筋の動きを確認)に手を当てたまま右側で10回しっかり咬む。左にガムを移動して同じように10回咬む。
口腔機能発達不全症の説明画像
1 2 を 3~5セット行う。
どの筋肉が動いているか意識する。必ず口を閉じて行う。
ほほに手を当て咬筋の動きを確認、右側で10回しっかり咬む。左にガムを移動して同じように10回咬む。ガムを前歯に移動し、前歯で10回咬む。(この時は手は添えなくてもよい)
口腔機能発達不全症の説明画像舌の上に丸める。
口腔機能発達不全症の説明画像いつも舌が上あごに位置するように習慣付ける。このようなトレーニングにより、顎の形もよくなったり、噛み合わせの変化が見られる。

3 4 を 5回繰り返す

トレーニングの効果

  1. 口腔機能発達不全症の説明画像偏側咬みの子に左右均等に咬むことを意識してもらった。
  2. 口腔機能発達不全症の説明画像トレーニング後
  1. 口腔機能発達不全症の説明画像片側で咬んでいない子にガムトレを行った。
  2. 口腔機能発達不全症の説明画像永久歯がはえる頃にはしっかり咬むようになった。
  1. 口腔機能発達不全症の説明画像舌が嚥下時にいつも前歯を押すので上下前歯がフレアーアウトし前歯に隙間が出来ていた。
  2. 口腔機能発達不全症の説明画像ガムの吸い上げ(ガムを上顎に押し付けるトレーニング)を行うと、前歯の隙間もなくなり噛み合わせが安定した。

それ以外にもガムを噛むことで、 様々な効果が期待できます。

  • ・リラックス効果による噛みしめ(TCH)の予防
    口腔機能発達不全症の説明画像TCHにより13歳でも下顎骨隆起が見られることがある。
    口腔機能発達不全症の説明画像右上第一大臼歯にクラック(15歳) 痛みが強く、歯髄処置が必要だった。
  • ・だ液の分泌が増える
  • ・清掃効果がある
監修 大串 博 歯科医師臨床研修指導医 日本歯周病学会 専門医 日本口腔インプラント学会専門医 日本臨床歯周病学会 歯周病指導医・認定医 ・歯周インプラント指導医 日本顎咬合学会 認定医 日本アンチエイジング歯科学会認定医 日本歯科医師会認定産業歯科医 インビザラインダイヤモンドドクター 日本審美歯科学会会員 日本血液学会会員 点滴療法研究会会員 高濃度ビタミンC点滴療法認定医 日本歯科医師会会員 「鬼手仏心」 歯科医になった時からの座右の銘です。 生涯常に研修・精進、メスを置くまで終わりのない道を登り続けます。

2026年追記:この記事を、予防型小児歯科の視点で読み直す

口腔機能発達不全症は、歯だけを見て判断する内容ではありません。舌の位置、唇や頬の使い方、飲み込み、鼻呼吸、姿勢、噛む力が関係します。見た目の歯並びの前に、お口をどう使っているかを確認することが大切です。

年齢ごとに見るべきポイントは変わります。乳歯、6歳臼歯、永久歯への交換、思春期の生活習慣まで、成長に合わせて確認することが大切です。

当院の目標は「永久歯のむし歯ゼロを目指す!」です

乳歯のむし歯を見つけてすぐに削ることだけが、小児歯科の役割ではありません。もちろん治療が必要な状態は確認しますが、乳歯の時期にもっと大切なのは、歯科医院に定期的に通う習慣を作り、永久歯が生えてきた時にむし歯を作らない準備を整えることです。怖い経験で歯科医院を嫌いになり、通院が途切れてしまうと、結果として永久歯を守る機会を失うことがあります。

そのため当院では、泣いているお子さんを無理に押さえて治療する方針ではなく、お子さんが協力できる段階を待ちます。座れる、口を開けられる、鏡で見られる、歯ブラシを受け入れられる、フッ素を塗れる。こうした小さな成功体験を積み重ねることが、将来のむし歯予防につながります。

家庭で見るポイント

保護者の方には、むし歯の有無だけでなく、毎日の生活の中で気になる場面を見てほしいと考えています。歯みがきを嫌がる時間帯、仕上げ磨きの姿勢、使っている歯みがき剤、フッ素の使い方、間食の回数、甘い飲み物の頻度、食事にかかる時間、口がぽかんと開く様子、寝ている時の口呼吸やいびき、姿勢の崩れ、指しゃぶりや舌癖などは、診療室での判断に役立つ大切な情報です。

特に「食べるのが遅い」「口にためる」「飲み込みにくそう」「噛む前に疲れる」という様子は、性格だけの問題とは限りません。舌の動き、噛む力、嚥下機能、姿勢、鼻呼吸、栄養の取り方が関係することがあります。歯科で相談してよい内容です。

フッ素と定期管理の考え方

フッ素は、むし歯予防を支える大切な方法の一つです。歯が生え始めた時期から、年齢に合ったフッ素入り歯みがき剤やフッ素スプレー、医院でのフッ素塗布、必要に応じたフッ素洗口を考えます。大切なのは、何を使うかだけではなく、家庭で無理なく続けられる形にすることです。

歯ブラシを嫌がるお子さんの場合、最初から完璧な仕上げ磨きを目指すより、歯ブラシが口に入ること、保護者が落ち着いて関われること、歯科医院で確認を受けながら少しずつ慣れることが大切です。王子が光るたまを一つずつ集めるように、できることを一つずつ増やします。

歯並びは見た目だけで判断しません

歯並びや噛み合わせは、見た目の問題だけではありません。噛む、飲み込む、鼻で呼吸する、舌を正しい位置に置く、よい姿勢を保つといった口腔機能と関係します。香椎照葉こどもとママの歯科医院では、できるだけ歯を抜かない矯正方針を大切にし、成長を見ながら、顎の発育、口腔機能、生活習慣を確認します。

王子は、むし歯が一本もなく、噛み合わせがよく、何でもよく食べられる自分を育ててくれた王様と王妃にいつも感謝しています。その物語は、早い時期から予防に通うこと、歯が生える前から親子で歯科医院に慣れることの大切さを伝えるためのものです。

この記事と一緒に確認したい内容

小児予防歯科では、永久歯のむし歯ゼロを目指す定期管理についてまとめています。子どものフッ素塗布では、フッ素の使い方と家庭で続ける予防を確認できます。口腔機能育成では、食べる力、舌の動き、鼻呼吸、姿勢の相談について説明しています。

歯並びが気になる場合は、小児矯正のページで、できるだけ歯を抜かずに成長を見ながら相談する考え方を確認してください。初めての来院が不安な方は、初めての小児歯科・小児矯正相談の流れをご覧ください。楽しく予防を伝えたい方は、てりは恐竜王国の冒険も親子で読めます。

さらに詳しく:保護者が判断しやすくなる見方

このテーマでは、歯並びを見た目だけでなく、お口の使い方として見ます。 舌が低い位置にある、口が開きやすい、鼻呼吸が苦手、飲み込み方に癖がある場合、噛み合わせや食べ方にも影響することがあります。 できるだけ歯を抜かずに成長を見ながら考えるためにも、口腔機能と生活習慣の確認が重要です。

保護者の方が迷いやすいのは、「これは様子を見てよいのか」「歯科で相談してよいのか」という境目です。小さなむし歯、歯みがき嫌い、食べるのが遅い、口が開いている、いびき、姿勢の崩れ、歯並びの違和感は、どれも単独で大きな病気と決めつけるものではありません。しかし、成長のサインとして早めに確認しておく価値があります。早く相談できれば、怖い治療ではなく、予防と成長支援として関われる可能性が高くなります。

香椎照葉こどもとママの歯科医院が大切にしているのは、治療型ではなく予防型の小児歯科です。痛くなってから通う場所ではなく、痛くならないように親子で通う場所でありたいと考えています。乳歯の時期に歯科医院を嫌いにしないこと、定期的にお口を見せられること、家庭で続けられる予防方法を持つことは、永久歯が生えてきた時の大きな財産になります。

来院時に伝えてほしいこと

診療室で分かることには限りがあります。毎日見ている保護者だからこそ気づける情報があります。歯みがきの時にどの場所を嫌がるか、仕上げ磨きは何分くらいできるか、どの歯ブラシなら受け入れやすいか、フッ素入り歯みがき剤を使えているか、甘い飲み物の頻度、寝る前の飲食、食事にかかる時間、口にためる様子、噛まずに飲み込む様子、口呼吸、いびき、姿勢、指しゃぶり、爪噛み、舌を前に出す癖などを教えてください。

写真やメモも役立ちます。食事中の姿勢、寝ている時の口元、歯が生えてきた位置、仕上げ磨きで見えにくい奥歯などは、診療時の説明が具体的になります。完璧な記録でなくて構いません。困っている場面を一つ持ってきてもらうだけで、家庭に合った助言につながります。

「治療するか」だけでなく「通えるか」を見る

小児歯科では、むし歯があるかどうかだけでなく、お子さんが継続して通えるかが重要です。乳歯のむし歯を無理に治療して歯科医院が嫌いになってしまうと、永久歯が生えた後の定期管理が途切れることがあります。当院では、初診日にいきなり治療をしません。お子さんが協力できるようになるまで待ち、できることを一つずつ増やします。

もちろん、痛みや腫れ、生活に支障がある場合は状態に応じて対応を考えます。ただし、押さえつけて終わらせることを目標にはしません。恐怖を残さず、次の来院につながる形を大切にします。王子が少しずつ光るたまを集めるように、お子さんの「できた」を積み重ねます。

永久歯のむし歯ゼロを目指すための共通ポイント

どの年齢でも、基本は定期管理、フッ素、仕上げ磨き、間食と飲み物の整理です。歯が生え始めたら、年齢に合ったフッ素の使い方を確認します。奥歯が生えてきたら、溝の深さや磨き残しを見てシーラントを考えることがあります。小学生になると、本人の歯みがきの癖、スポーツドリンク、塾や習い事での間食、夜更かし、睡眠中の口呼吸も確認します。

予防は、家庭だけで抱えるものではありません。医院で確認し、家庭で続け、また医院で調整する。その繰り返しが大切です。できていないことを責めるのではなく、続けられる形に変えることが、長期的には一番強い予防になります。

歯並び・食べる力・呼吸までつながっています

歯並びは、歯だけが勝手に並ぶわけではありません。舌の位置、唇の閉じ方、鼻呼吸、噛む力、飲み込み方、姿勢、食べる速さと関係します。食べるのが遅い、口にためる、よく噛めない、口を開けて寝る、日中も口が開きやすいといった様子は、歯科で相談してよい内容です。

当院では、できるだけ歯を抜かない矯正方針を大切にし、成長を見ながら相談します。抜歯前提ではなく、顎の発育、口腔機能、生活習慣を確認し、必要な時期に必要な支援を考えます。見た目だけの美容としてではなく、子どもの健康と成長を守る医療として小児矯正を考えます。

てりは恐竜王国としての伝え方

子どもにとって、歯科医院は知らない音や道具がある場所です。だからこそ、怖い説明だけではなく、物語として伝える工夫も大切です。王子は、むし歯が一本もなく、噛み合わせがよく、何でもよく食べられる自分を育ててくれた王様と王妃に感謝しています。そして困っている恐竜に出会うたび、歯が生える前から予防に通うこと、フッ素や歯みがきを続けること、鼻呼吸や姿勢を整えることの大切さを伝えます。

この物語は、医療情報を軽く扱うためのものではありません。子どもには楽しく、保護者には分かりやすく、医療としては誠実に伝えるための入口です。親子でページを読み、気になることが一つでもあれば、早めにご相談ください。

この記事を書いた人

医療法人博道会理事長 大串 博 
歯科医師臨床研修指導医
日本歯周病学会 専門医
日本口腔インプラント学会専門医
日本臨床歯周病学会 歯周病指導医・認定医
日本臨床歯周病学会 歯周インプラント指導医
日本顎咬合学会 認定医
日本アンチエイジング歯科学会認定医
日本歯科医師会認定産業歯科医
インビザライン社認定ダイヤモンドドクター 

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